まったり旅行記14…最終章2

“世界一美味い”チーズバーガーに朝から膨れた腹を抱えて
宜野湾の三線店に向かう。
ここは前から三線を発注していて是非伺いたいと思っていたところだ。
場所はけっこう判りにくいところにあるのだが
クルマのナビを駆使してなんとかたどり着いた。
電話の印象よりも若い素朴な店主が迎えてくれた。
「いつも横浜から注文させていただいてます」
と言うと、判ったのかどうかわからないんだけど
喜んで迎え入れてくれた。そしていきなりDVDをくれた。
あとで観たらプライベート的なミュージシャンの演奏ものだった。
ラッキー。
この三線店は前日大城先生のところでも絶賛されていた。
「あそこの三線にはハートが入ってるからね。」
まさにその通りのお人柄で、来て良かったと思った。
僕が三線をやっていることを話すと
在庫から1本三線を持って来て弾かせてくれた。
真面目にやっていることを認めてもらえたのか
貴重なDVDから、唄者たちの演奏を見せてくれた。
仕事の手止めちゃっていいんですか…
とか昼食を友人と待ち合わせて取ることになっていることなど
気にはなったが、このゆるゆるとした時間がとても心地よくて
ついつい長居してしまう。
店主も「この曲も聴いてみようね」などと
どんどん出してくるので立ち上がるきっかけを失い
結局4時間くらい店にいた。
「ちょっと公民館に行ってくるから
DVD観ながら待ってなさいね。」
と店主が言わなかったら飛行機乗り損ねていたはず。
沖縄に来たら沖縄時間に体内時計を合わせる。これが大事。


結局教室の生徒さん用の三線を2本オーダーしてお店をあとにした。
おもろまちで待っているSちゃんにメールをしてクルマを走らせる。
おもろまちでは友人Kの友人が経営しているという沖縄料理屋に行く。
島菜(しまなー)』。
「チャンプルー類も美味いが、ここのぜんざいは沖縄一!」
とKが太鼓判を押すので頼んでみる。
パンプキンぜんざい、紅芋ぜんざいなど
ちょっと変わったぜんざいがあって自分は紅芋ぜんざいを注文。
これは美味い!おかわりしたいくらい。
Sちゃんは前日「おきなわマラソン」に出場し
フルマラソンを見事完走。その報告を聞く。素晴らしい。


おもろまちには舞台衣装屋があって『島菜』からとても近かったので
そこに寄って衣装の帯や襦袢を購入。これでステージ衣装もOK。
旅の最後は国際通りに戻る。いつもそうなる。
それは、初日に会えなかった公設市場の肉屋のおばちゃんに会いに行くため。
そのおばちゃんに最初に会ったのはもう10年以上前。
初めて沖縄に行ったときのこと。
なんの気なしにその肉屋でお土産用の肉など買った。
そのあと1年ほど置いてまた行ったら
「あんたまえに来たことあるよね」
と覚えてくれていたのだ。
それは客商売の常套句なのかも知れないけれど
おばちゃんはそんな感じでなくごく自然にそう言ったのでとても嬉しくて
以来、沖縄に行くたびにおばちゃんのところに顔を出す。
おばちゃんは内地になんてめったに来ないだろうから
ちょっとした横浜のお菓子なんか持って行くと
とても喜んでくれる。
以前頼まれ物を探していたら店を放り出して
自分の手を引っ張って市場中を駆け回ってくれた。
その土地の魅力って、その土地に住む人を知って
初めて判るんだなあってことを教えてくれた。
「あんたまた太ったね。」
おばちゃんは会うたびに言う。
「おばちゃんもね。」
こちらも返す。これが言いたくて会いに行く。


そして旅は終わりを告げるのです。