『文七元結』古今亭志ん朝
最近の楽しみは家で晩ご飯を食べながら
落語のビデオをDVDに落としがてら観ること。
きのうは古今亭志ん朝の『文七元結』。
これは人情噺の名作中の名作で
本当によく出来ているなあと感心させられる。
録画は98年に放映されたTBS『落語特選会』。
志ん朝は自分の映像を残すことを嫌ったそうで、DVDも出ていない。
今となっては貴重なものかも知れない。
この噺、登場人物が多い。
- 腕はあるが博打で身を持ち崩した職人。
- その職人の妻で貧しさに潰れそうなおかみさん。
- そんな両親に、なんとか元の暮らしを取り戻してもらいたいと知恵をしぼる娘。
- その娘の気持ちを汲んで職人に意見をする遊郭の女主人。
- 自分の勘違いから身投げをしようとしていたところを
- 職人に助けられた実直だが気の弱い大店の小僧。
- 店の者を助けた職人の心意気に惚れる大店の旦那。
これだけの人間を、志ん朝はじつに活き活きと演じ分ける。
噺の枕は「名人とは」みたいなことを話すんだけど
まさに名人芸!と膝を打ちたくなる。
ともすれば湿っぽくなりがちな噺を最後までテンポよく笑わせ
要所要所でしんみりさせて、最後は鮮やかなハッピーエンド。
所作の隅々まで神経がいきわたって何度観ても飽きない。
志ん朝は気品のある旦那や女性を演じるとき
なんともいえず品よくつややかに、そして可愛らしさを漂わせて演じる。
全部演じると1時間近くかかる人情噺の横綱だが
まったく飽きることなく聴かせてくれる。幸せ。
しいて言うならば、もう生で志ん朝を聴くことができないの悲しい。
しかしこれから年の瀬に差し掛かると
人情噺が合う季節になって来ますね。
『芝浜』なんかもってこいだ。
志ん朝の『芝浜』はうちにあったかな・・・。
きのうの卵かけご飯に続いてなんという偶然か
アンテナに入っている「きん助ブログ」の『きん』のマスターさんが
志ん朝の『文七元結』について言及しているのであった。
またもやシンクロニシティ!!
この本、買ってまだ読んでなかった・・・。
- 作者: 古今亭志ん朝
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2005/09/10
- メディア: 単行本
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