『文七元結』古今亭志ん朝

hacchaki2006-11-03

最近の楽しみは家で晩ご飯を食べながら
落語のビデオをDVDに落としがてら観ること。
きのうは古今亭志ん朝の『文七元結』。
これは人情噺の名作中の名作で
本当によく出来ているなあと感心させられる。
録画は98年に放映されたTBS『落語特選会』。
志ん朝は自分の映像を残すことを嫌ったそうで、DVDも出ていない。
今となっては貴重なものかも知れない。


この噺、登場人物が多い。

  1. 腕はあるが博打で身を持ち崩した職人。
  2. その職人の妻で貧しさに潰れそうなおかみさん。
  3. そんな両親に、なんとか元の暮らしを取り戻してもらいたいと知恵をしぼる娘。
  4. その娘の気持ちを汲んで職人に意見をする遊郭の女主人。
  5. 自分の勘違いから身投げをしようとしていたところを
  6. 職人に助けられた実直だが気の弱い大店の小僧。
  7. 店の者を助けた職人の心意気に惚れる大店の旦那。

これだけの人間を、志ん朝はじつに活き活きと演じ分ける。
噺の枕は「名人とは」みたいなことを話すんだけど
まさに名人芸!と膝を打ちたくなる。
ともすれば湿っぽくなりがちな噺を最後までテンポよく笑わせ
要所要所でしんみりさせて、最後は鮮やかなハッピーエンド。
所作の隅々まで神経がいきわたって何度観ても飽きない。
志ん朝は気品のある旦那や女性を演じるとき
なんともいえず品よくつややかに、そして可愛らしさを漂わせて演じる。
全部演じると1時間近くかかる人情噺の横綱だが
まったく飽きることなく聴かせてくれる。幸せ。
しいて言うならば、もう生で志ん朝を聴くことができないの悲しい。


しかしこれから年の瀬に差し掛かると
人情噺が合う季節になって来ますね。
『芝浜』なんかもってこいだ。
志ん朝の『芝浜』はうちにあったかな・・・。


きのうの卵かけご飯に続いてなんという偶然か
アンテナに入っている「きん助ブログ」の『きん』のマスターさんが
志ん朝の『文七元結』について言及しているのであった。
またもやシンクロニシティ!!


この本、買ってまだ読んでなかった・・・。

世の中ついでに生きてたい

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