『すいか』(DVDで鑑賞)

hacchaki2007-05-24

(ドラマといっても古い話なんでね…)
ワタクシの好きなドラマは
その登場人物たちにまた会いたくなるようなドラマ。
舞台になっている街に行きたくなるようなドラマ。


で、この『すいか』はまさにそういう作品でした。
放映当時はあまり話題にならなかったようですが
さりげなくその年(2003年)の向田邦子脚本賞
前から気になっていたので借りてみたのだが
これ、いいっ!いいわっ!

親の敷いたレールに従って育ち平凡なおとな
になった銀行員・基子(小林聡美)が、同僚
馬場ちゃん(小泉今日子)が起こした3億円
横領事件をきっかけにこれまでの自分の人生
に疑問を抱き、親元を飛び出し偶然見つけた
賄い付きアパート「ハピネス三茶」に下宿を
始める。そこにはアパートオーナーの娘(市
川実日子)、売れないエロ漫画家(ともさか
りえ)、一風変わった大学教授(浅丘ルリ子
が暮らしていた…。

本当に何気ないけど日常の繰り返しの中で
登場人物たちはそれぞれに悩み、考え、
そして前向きに進んで行く。
全編を通してセンセーショナルな事件は起こらないが
ほのぼのとしていてどこか懐かしい。
どのキャラクターもたまらなく愛おしい。
セリフのひとつひとつがじんわりと心にしみて秀逸です。
観終わったあと「ハピネス三茶に行きたい!」
「キャラクターたちにまた会いたい!」
とつくづく思いました。
主人公の年齢設定が自分に近い(当時で34歳)のと
小林聡美さんが実年齢で自分と同い年というのも大きいな。
小林さんは『やっぱり猫が好き』の頃からファンで
同年代ということもあって常に注目してました。
昔働いていた会社の同僚が中学校の同級生だったらしく
「当時から他の人と全然違ってた」と言ってましたYO。
やっぱり女優さんになるような人ってえのは
そういうもんなんすかね〜。
それと浅丘ルリ子がいいっ!
カッコよくてカワイイおばちゃんを演じさせたら
この人スゴいですね〜。めちゃめちゃチャーミング。
天才柳沢教授の生活』の女性版みたい。
おそらく脚本の方も柳沢教授をイメージしたのでは?
そしてともさかりえ市川実日子もカワイイ。
ともさかりえっていい味出しますね〜。
市川実日子手足長っ!
彼女の「イキイキ感」がドラマに爽やかな風を与えてます。
その他にも小泉今日子もたいまさこ片桐はいりなど
芸達者が揃いも揃っていい掛け合いを演じています。
男性の出演陣が少ない中、高橋克美が奮闘しています。
いい脚本があってそこにいい役者が揃って
素晴らしいアンサンブルが紡ぎ上がったという感じ。


脚本は木皿泉
Wikiで調べたら『やっぱり猫が好き』で書いてたのね。なるほど。
ドラマにも「つなよし」という猫が出て来て
なんとなく『やっぱり〜』をイメージさせるものがあった。
現在放映中の『セクシーボイスアンドロボ』の
第1、2、3、6話を担当しています。
確かに1話、2話に共通するテイストがありましたな。
6話にたしか「ハピネス」という言葉が出て来たな〜。
男女ペアの脚本家らしいんですがいい仕事してますね。
今後の活躍に期待大。やっぱりドラマは脚本だねえ。


ドギツイ描写やドロドロしたストーリー展開であったり
やけにオーバーな演出が多かったりする昨今において
このドラマはかなりのチャレンジだったようで
興行的には成功とは言えなかったかも知れないけど
今も多くのファンに語り継がれているという点で
「よくぞ生み出してくれました!」と拍手を送りたいドラマです。
ワタクシは80年代TVドラマ『ちょっとマイウェイ』を思い出しました。
桃井かおり研ナオコが出てたやつ。知ってる人います?
アレ好きだったんだよな〜。
アノ頃はいいドラマがいっぱいあったなあ。


ってなわけで人生をちょっと立ち止まって
自分を見つめ直したりしたい人にオススメ。
近年珍しい「やさしい」ドラマです。

すいか DVD-BOX (4枚組)

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