ソウルキングは不滅だ!

hacchaki2008-07-15

その姿を初めて観たのは中学2年のときだった。
クラスメートのYのスモーキーな部屋で
不良どもが集まってだらだらと
つま恋ホットジャム』のTV中継を観ていた。
(ワタクシ不良ではありませんオホホ)
つま恋ホットジャム』は現在の『サマー・ソニック』や
『フジ・ロックフェス』などに当たる夏の野外フェスのハシリで
当時トップクラスの人気を誇るミュージシャンが多数出演していた。
その頃の僕らはニューミュージックブームのまっただ中。
みんなの目当てはアリスやかぐや姫だった。


そんな時ステージに現れたのが彼の率いるバンドだった。
「よーこそ!」という奇妙な唄をうたいながら出て来た
ボーカルは道化師に近いようなメイクをして
ド派手な衣装に身を包んで髪の毛を逆立てて左右違う靴下を入って
ステージ上を飛び跳ねたり客席に飛び降りて
芝生の上をゴロゴロ転がったりしていた。
その唄声は声変わり前の少年のようにはにかみと不遜さが同居して
よくも悪くも耳に残る声だった。
並みいるニューミュージック界の大御所たちの中にあって
彼らのステージパフォーマンスは完全に浮いていた。
客席はほとんどシーンと静まり返っていたと思う。
「なんだこいつら。」
「変なバンドだな〜。」
みんな呆気に取られてTVを観ていた。
でもその強烈な声はいつまでも記憶に留まっていた。


それから何度かそのバンド名を耳にすることはあった。
当時買いあさっていたロック雑誌にも写真が出ていたりした。
でも「あーあの変なバンドでしょ?」くらいのイメージしかなかった。
当時の自分はモーリスのフォークギターをかき鳴らして
アリスやさだまさしを唄っていればそれでよかった。
彼らの奏でる音楽やパフォーマンスは
それらとあまりにも違い過ぎたのだ。


次にその唄声を聴いたのは高校1年のことだった。
何気なく付けた深夜ラジオから聞き覚えのある声が
耳に飛び込んで来た。

きのうはクルマの中で寝た
あのコと手をつないで
市営グラウンドの駐車場
ふたりで毛布にくるまって


カーラジオからスローバラード
夜露が窓を包んで
悪い予感のかけらもないさ


その瞬間の魂の震えは今でも忘れることが出来ない。
本当に衝撃的だった。
あのときと同じようにはにかんだような声で
ナイーブかつ大胆に絞り出される言葉のひとつひとつは
異様に研ぎすまされて鬱屈した少年(自分)の
胸に突き刺さって来た。
曲が終わって魂を根こそぎ持って行かれたような虚脱感に囚われていると
ラジオのDJがこう言った。
「曲はRCサクセションの『スローバラード』でした。」
その瞬間、自分にとっての神様が決定したような気分だった。


それ以来ずっとRCサクセション忌野清志郎
自分にとっての神様みたいな存在。
ソロになってからあまり新譜をチェックすることはなくなったけど
自分の青春はまさにRCサクセションとともにあったし
高校時代はほとんど追っかけ状態だった。
まさに「ロックンロールの神様」。
日比谷野音毎年行ったな〜。
クリスマスの武道館ライブも行ったな〜。
ひとりで行ったライブもあったな〜。
おふくろ連れて行ったライブもあったな〜。
本当に僕の高校時代はRCサクセションの音楽とともにあったのだ。


その清志郎さんは今、ガンが再発し
公演を中止して病と闘っている。
ホントに頑張って欲しい。
病に勝ってまた僕らの前に現れて欲しい。
僕らのソウルキングは絶対死なない。
頑張れ!キヨシロー!!

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