『風音』(DVD)

hacchaki2006-01-30

原作は沖縄出身の芥川賞作家・目取真俊
物語は、暴力夫から逃れて沖縄に戻ってきた母親とその息子、
特攻隊で沖縄に散った憧れの人の痕跡を探す老女、
このふたつのエピソードを柱に話は進む。


個々のエピソードはそれぞれに進み、最後まで交わることはない。
それはそれで手法としてはありなんだけど
問題は、それぞれのエピソードの決着のつけ方。
自分的には納得がいかなかったっす。
沖縄まで追いかけて来た暴力夫に対する母親の決着のつけ方。
それに対する周囲の人間の行動。
特に、唯一両方のエピソードに絡む無口な老人が取る行動。
これらが、どうもすんなり納得が出来ない。
彼の行動はなんら問題の解決になっていない。
というより「解決しようとする気すらないのでは?」と思わせる。
彼女が取った選択が、やむにやまれず仕方がないものだったとしても
それは「希望」ではなく「さらなる絶望」への選択でしかない。
そして彼女を助けようとする老人の行動もまた
「救い」になるどころか彼女に「罪」を上塗りさせるものに他ならない。
ブラックユーモアなのか?いや、そうでもないしなあ。
どうせなら徹底的にブラックな視点で描いてくれれば
彼らの行動の意味も、まるで違ったものになったはずだ。
素材はよいのだが、料理方法というか着地点で
違和感の残る作品でした。
(ネタバレしたくないので回りくどい書き方になったYO)


子供の目線で始まるスタートと
子供世界の中で起きる事件などの描き方はとてもよかった。
そのまま子供の目線に徹したほうがよかったなあ。
原作は原作で読んでみたいと思いますが。

風音 [DVD]

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