[おきなわ]『嘉手久』

hacchaki2007-06-07

「うるうるま沖縄民謡教室」での練習曲に
カチャーシー曲『嘉手久』が加わりました。
カチャーシー曲は数々あれど『嘉手久』は
そのなかでも大好きな曲のひとつ。

     嘉手久
嘉手久思ナベが 綾フジョーぬ煙草
着きて捧ぎらば 吹ちゃいたぼり


<仮名遣い>
かでぃくうみなびが あやふじょーぬたばく
ちきてぃうさぎらば ふちゃいたぼり


<訳>
嘉手久村の愛しいナビーちゃんが
上等タバコ入れから差し出した煙草に
火をつけて差し出したよ
どうぞお吸い下さいな


このわずか30文字(読みで)の琉歌を
珊瑚の砂浜に打ち寄せる波のように
ゆったりとしたメロディに乗せる。
そして三線はイキのいい魚のようにピチピチと跳ねる。
カチャーシー曲はほとんどがそう。
唄はゆったり。手はピチピチ。


コウエイ先生はおっしゃる。
「唄はクールにうたうのがカッコイイ。」
ちょっと斜に構えているくらいが「粋(イキ)」なんだと。
この「粋(イキ)」というのは芸事にはとても大事な要素だと思う。
デッカい口を開けてがなり立てるナンザ
野暮てんのすることだよ、おまいさん。


この場合肝心のは三線
ピチピチとイキのいい魚が跳ねるが如くリズムを繰り出し
曲全体のうねり=グルーヴ感を創り出し
聴く人を踊らずにはいられない気持ちにさせる。
このとき大事なのは「速さに囚われない」こと。
カチャーシー曲」=「速いことがエラい」みたいな感覚が
多くの三線愛好家の頭にあると思われるが
それはけっして正しくない。
カチャーシー曲」は「踊らせてなんぼ」。
しっかりとリズムを作ってグルーヴを生み出せれば
ある程度ゆったりとしたテンポでも
ちゃんとみんな踊り出します。大丈夫。


この、ピチピチ三線があればこそ
クールな唄い回しがまた一層引き立って来る。
カチャーシー曲は遊び唄。
遊びは粋(いき)にやってこそのものでございます。