ルーツを探して、北へ!

ワタクシのミクシィネームは曾祖父の名前から取っているんですが。
先日本屋で手に取った新書に曾祖父の名を発見。
曾祖父に関することは和歌山の本家が戦災で焼けてしまったため
ほとんど何も判っていないのですが
箱館戦争に参加したらしい」ということは言い伝えられていて
戊辰・箱館戦争に関する文献があると目を通すようにしてます。
で、2年ほど前に「明治政府による箱館戦争旧幕府軍捕虜名簿」
というものと出会いそこに曾祖父の名を見つけて
その言い伝えが本当であったことを確認したわけです。


で今回手に取った本は『箱館戦争』(星亮一)。
この本の巻末に榎本武揚が江戸から箱館に向う際に使った
旧幕府軍の戦艦開陽丸の乗組員名簿があり
そこに「総督・榎本釜次郎(武揚)」
「軍艦頭(艦長)・沢太郎左衛門」などの名と並び
「軍艦役・三等」というところに曾祖父の名が。
これによって曾祖父が江戸から榎本武揚とともに
開陽丸に乗ったことが判明した訳です。
そして本を読み進めるにつれ
箱館戦争がいかに激しい戦争であったかということが判り
そんな中に曾祖父はいたんだなあと感慨深いものがあります。
星亮一さんの文章が少し小説仕立てになっているので
その現場にいたであろう曾祖父の呼吸までが
伝わってくるような思いがします。


江戸から明治へと移り変わる動乱の中、
曾祖父が暮らす紀州藩はかなり早い段階で
徳川方から新政府側へと鞍替えをするのですが
そんな中なぜ曾祖父は旧幕府側について
箱館まで行ったのか。
それが大きなナゾなのです。
考えられるのは

  1. さっさと明治新政府に転向した紀州藩に怒りを覚えた
  2. 徳川幕府に思い入れがあった
  3. 地元に離れたい理由があった

ワタクシの予想ではこの3つ全部がない交ぜになって
北に向かったのではないかと思うのですが
地元を離れたい理由があったとすれば
なんだったんでしょうね〜。女関係か(笑)?


前出の「旧幕府軍捕虜名簿」によると
曾祖父は箱館政府の中で「開拓奉行」という役職に就いた
沢太郎左衛門の下についています。
そのことから沢太郎左衛門という人と
かなりつながりが深かったのではいかと思われます。
沢太郎左衛門という人は徳川幕府におけるエリートだったようで
榎本武揚と一緒に海外留学をしたり
神戸に海軍伝習所を開いたりしています。
曾祖父はおそらくその神戸の伝習所あたりで
沢太郎左衛門と知り合ったのではないかというのが
ワタクシの予想です。
沢さんはどうやら日記を書き残しているらしいのですが
それは本となって出版されていない。
でもそれを読めば曾祖父の名が出てくるのではないか。
ぜひその日記に目を通してみたい。


曾祖父は箱館戦争終了時に投降したあと
紀州藩和歌山県)に帰り謹慎したのち
赤十字の仕事に ずいぶん入れ込んだとの言い伝えもあります。
そして軍艦開陽丸には明治時代、日本赤十字社の設立に尽力した
日本赤十字の父」高松凌雲も同船していたことが
その資料によって見て取れます。
おそらく曾祖父は船の中で、
そして箱館に着いてからの高松凌雲らとの交流の中で
なんらかの影響を受けたのではないかと推測できます。
もし曾祖父がワタクシに似ていたらミーハーだっただろうから
「これからは赤十字やねっ」などと軽いノリで考えたに違いない。
箱館五稜郭政府にはあの新撰組土方歳三もいたから
きっとTシャツにサインなど書いてもらっていたに違いないっ。


ワタクシは何の根拠もないんだけどなんとなく曾祖父は
ワタクシに似ている人だったんじゃないかなあと思います。
「ご先祖さま」とか言うとなんとなく厳つい顔して
額縁の中に収まっているようなイメージがあるけど
当時はご先祖さまだってフツーのワカモノだったわけで
泣いたり笑ったり冗談言ったり女の子にちょっかい出したり
失敗したり落ち込んだりしていたはずです。
それに自分自身がこうして曾祖父に興味を持つのも
なにか曾祖父が「お〜い、オレのこと知ってくれよ」
とメッセージしているような気がしてならないのです。
戦災で遺品や文献が残っていない以上
曾祖父のことを知る者は誰ひとり居ないわけですから
曾祖父としても淋しいんじゃないかなあ。


な〜んて想像を膨らますとなんだかワクワクしてきます。
自分のルーツをまた少し発見できたような気がして。
ほんの150年ほど前の激動の時代に
自分の元となる人間が青春していた。
(といっても箱館戦争時で35歳だったので
当時としてはあまり若くないですね。
ちなみに土方歳三が34歳だったのでほぼ同年代です)
もしかすると顔も似ていたかも。
そう思うとなんだかジッとしていられない気分です。
函館に行けば開陽丸の資料館などがあり
またなにか判ることがあるのではないかと
今無性に函館に行きたくなっています。
これから少しずつでもいいから曾祖父の足跡を辿って
彼のなにがしかを明らかにしていけたらいいなあと思います。
海鮮丼も美味いぜ、函館。いざ、北へ!
なんて言いながらワタクシ北海道行ったことないんですよ…とほほ。
待っててね〜北海道!でっかいどう!(古い)

箱館戦争―北の大地に散ったサムライたち

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