『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(DVD)

観たのは少し前だけど書き残しておきます。


とにかく泣かされた。ええ泣きましたとも。
以前に大泉洋の2時間ドラマ版を観ていたので
まさか泣くまいと思っていたが。
それに前半はわりと淡々としていたし。
原作を読んでいないので比較は出来ないけれど
幼少期の描写や東京に出て来てからの
彼女や仲間とのエピソードにもの足りなさを感じた。
オダギリジョーはカッコイイし好きだが
大泉洋のほうはヘタレな感じが出ていた気がする。
脚本が松尾スズキなためときどき小ネタが気になるも
全体的に丁寧な作りで好感触でした。
この映画の一番のキモはなんといっても
内田也哉子樹木希林の“遺伝子レベルバトンタッチ”であろう。
オカンの若い頃を内田也哉子が演じ
途中から樹木希林にバトンタッチするのだが
樹木希林になってから若い頃のオカンが
内田也哉子の顔で鮮やかにオーバーラップするので
「オカンにも若い頃があったんだよなあ」って気持ちにさせられる。
たとえば2時間ドラマ版の場合田中裕子が
全編を通してオカン役をやっているので
若い頃の役は当然若作りメイクになるわけで
どこかに無理があったりもする。
その点でこの“奇跡のバトンタッチ”は大正解だった。
ただ樹木希林に代わり立ての頃少し
「あれ?キャラ変わった?」と思わせる部分があったのは残念。
しかし終盤に向かうに従って樹木希林の演技が
スゴいことになっていきます。
やっぱりスゴい女優さんだなあ。
さすが野毛出身(関係ないか)。
内田也哉子さんも素晴らしい。
彼女はこの作品が初演技で
今後も出演予定はないそうだが
もっと活躍して欲しい気もするし
このまま無垢な感じを保って欲しい気もする。
オトン役の小林薫もカッコイイねえ。


この作品の場合「母と息子」の関係性がテーマであり
女性と男性ではかなり見方が違うということが
あとでいろんな人の話を聞いてわかった。
たとえばこの作品の中に女兄弟がいたとしても
息子と母の間には割り込めない何かがあっただろう。
もちろん娘にとっても母は特別だろうとは思うが。


原作者リリーフランキーの実体験に基づくこの作品は
リリーさんと同年代の自分にとってはどうしたって
被るところだらけなわけでその点においても
この映画は泣かざるを得ないと言うかなんというか。
もう恥ずかしいほどに泣きました。
ひとりで観てよかったよ、まったく。
絶対となりの家に聞こえたな、鳴き声(汗)。
「もし自分の身に起きたらどうするか?」
「自分だったらあそこまで出来るか?」
といろんなことを突きつけられるのは
映画であれ原作であれ同じだと思うけれど
つまりはそこがキモですよね、この映画の。
ホント、しっかりしなきゃいかんですね。オトコノコとして。


東京タワー オカンとボクと、時々、オトン(2枚組) [DVD]

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