正月に観たDVD

hacchaki2010-01-07

イキガミ
松田翔太主演。
18歳から24歳までの間に1000人にひとりが間引きをされる
国家繁栄維持法(だったかな)という法律によって
国民に命の尊さを植え付ける、という架空の時代の話なんだけど
そもそもその設定にムリがないかと。
そんな法律があったら命の尊さを感じるどころか
刹那的な社会になってしまうんじゃないかと思うんだが。
それにそんな無茶な法律が制定されるに至る過程が
気になってしょうがないじゃないか。
それにもっと社会全体がこの法律によって
激しくゆれ動いているんじゃないかと思うんだけど
映画のなかの社会は我々の日常とまったく変わらないし
物語自体わりと小さいところで進んで行く。
とまあオープニングからいろんなことが気になりながら
観て行くしかないんだけれど。


それでも最後まで観られたのは
それぞれのエピソードがわりとしっかりとしていたことと
山田孝之塚本高史、鳴海璃子の演技が光っていたことが大きい。
とくに山田孝之は『美らさん』から大きく成長したなあ。
鳴海瑠子はホントカワイイデス。ファンです。
松田翔太演じる主人公が最後まで傍観者あったことは残念。
死が決定した者に死亡通知書=イキガミを配達する役目を持ちながら
そのシステムに疑問を持っている、ならば最後にどういう決断をするか
誰もがそこに期待するはずなのだけれど彼は何もしない。
「コワい世の中ですね」
って感じで終わってしまったのはなんとも残念。
そもそも「死」をドラマチックに描くなんて
ある意味簡単なんだからその先がないと。
「妹思いのチンピラ兄の死」
「政治家の親に反発するひきこもり息子の死」
「母ひとり子ひとりの家族の息子の死」
ほら、こう書いただけでドラマチック。泣けて来る。
うむ、そうか、そういうことか。
なんだかなあ。なんてズルい映画なんだ(笑)。
でもこの映画はただ「死」と向き合う映画ではないはず。
そこにあるのはあくまで国家に強制される「理不尽な死」。
理不尽な死にさいして人がただの病死や事故死と同じであるはずがない。
そこが描かれていないのは相当な欠陥だと思うんだが。


で、自分がもし24時間後に死ぬと言われたら……
いままで出会った人に会いに行くかな〜自分は。
それかどっかの離島で海に沈む夕日を眺めながら死にたいです。
それくらいしか思いつかないのは想像力が欠けているからなのか。


イキガミ [DVD]

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