『重版出来』

hacchaki2016-04-24

第1話鑑賞。
ヒジョーにグッと来るものがありました。
舞台は大手出版社の漫画雑誌編集部。
自分の漫画家修行時代をナマナマしく思い出した。


30歳手前でサラリーマンを辞め
某社某雑誌編集部に日参して原稿を見てもらっていたあの頃。
体重は今より20キロ近く軽く
髪の毛なんかフッサフサであった。
神保町喫茶『さぼうる』で担当さんと
打ち合わせするのが夢だった。
原稿が採用された日は『いもや』の天丼を食べて帰った。


ドラマの舞台となる編集部が
まさに自分が通っていた編集部そのもの
(かそれをモデルにしたセット)なのでビックリ。
協力が「S学館」となっていたので間違いない。
あの頃のワシは漫画家になりたくて仕方なかった。
でも何を描いたらいいかわからずもがいていた。
それと同時に自分にはこの仕事が向いてないんじゃないか
というのも心の何処かで感じていた。
何日も誰とも会わず引きこもってひたすら原稿に向かう
みたいなことが出来るタイプの人間ではないのですよ、ワシは。
せっかくデビューさせて頂いたにも関わらず
それをはっきりと認識した瞬間からネームが描けなくなった。
そんでいろいろあって今に至ります(笑)


でもあの漫画家修行時代に得たもの、
担当さんからのアドバイス
自分の中の葛藤から生まれたものは
今の活動にも非常に役立っています。
表現をして人に何かを伝えるという点では
漫画も音楽もまったく同じですから。
だからなかなかしんどかったけど
自分にとっての宝物でもあるわけです。


昨年10数年ぶりに当時の担当さんと電話で話して
「田所さん、また描きましょうよ!」
と声をかけて頂いた。
担当さんはドラマのようなはつらつとした若い女性ではなく
ワシと同年代のおっさんです。
だいたい当時だってあんなコ居なかったですよ。
もしあんなコが担当だったらもっと頑張ったかも(ウソウソ)
それはともかく漫画界でたいした実績も
上げられなかったワシにそんなふうに声をかけてくれるのは
とてもありがたいことです。
漫画で食って行くとかそんな大それたことではなくて
ゆるゆると描いて行ける場所があったらいいなとは思います。
今は発表する手段もいろいろだし。
でもそんな余裕ないけど(笑)
辞めたつもりはないんですよ。
依頼がないだけで・・・・・・。
そして音楽のお仕事でいっぱいいっぱいなだけで。
それもとてもありがたいことです。


まあ、とにかくそんなこんなのいろんな思いが
ドバーっと沸き起こるようなドラマだったのでした。
役者さんもみんないいしね。
2話以降も楽しみ。