『八月のかりゆし』

監督:高橋巌/出演:松田龍平末永遥Tama、斎藤和義、村山富市北川えり匠ひびき、兼城道子、きゃんひとみ島田久作他/2002年/92分/製作&配給:ギャガ・コミュニケーションズ

う〜ん、監督の捉える「沖縄観」に違和感を覚えるなぁ。
タイトルの「かりゆし」からして、違和感があったのはワシだけ?
セリフにも舞台設定にも、ストーリーそのものにもリアリティが感じられないんだよぅ。
それは出演者の演技力的な問題もあるだろうけど、
そもそもシナリオ段階の問題だろうという感もすごくあり。
監督のやりたいことは、ボンヤリ推測できるんだけどね。
テンポもあまりよいとは思えず、前半などもう少しテンポよく、
ポンポンとエピソードを積み重ねていけば、後半のファンタジー部分に勢いで入れたのになあ、と思います。
その辺がリアリティのなさに繋がっていると思います。
セリフで説明するのはロンガイとしても、エピソードをきっちり刻んでいかないと、
リアリティは得られないと思う。

松田龍平はちょっと浅野くんっぽくて、ああいう感じは嫌いではないけど。
演出側が上手に使ってあげないと可愛想だよ〜と思った。
TAMAって「ヒステリック・ブルー」のコだったのね。
演技素人を使うのも構わないんだが、やはり演出力不足。
末永遥はいいですね。ステキな女優さんになりそう。
とにかく全体的に説得力のない映画でした。
映画学校の学生が卒業制作で作ったなら「スゲーッ!」と感動したことでせう。
「難解な映画」というのは、あくまで中味があってのことだから。
「1度で判らなかったらもう1回観てね」なんて製作者に言って欲しくないなぁ。
だって単純に2倍儲かるわけじゃないですか。
「3回食べたら美味しいと感じるから」ってラーメン屋に3回食べに行きますか?
悔しかったら、判りやすい映画作ってみやがれなんて生意気言ってゴメン。


かえすがえすも、作り手のやりたいことは推測できるだけに残念です。
素材も悪くないのに〜。ファンタジーを撮るなら、周りをばっちりリアリティで固めてくれないと。
でもそういう全体の稚拙さに、愛着を感じる人もいるかもしれないな、とボンヤリ思ってみたり。しかしDVDの「特典映像」ってのも考えもんだねぇ。
蛇足ってことになりかねないじゃないかぁぁ。