『坊ちゃんの時代』谷口ジロー・関川夏央

ひさしぶりに読んでみた。
全5巻のうちの第3巻で石川啄木が主人公。
どうにもダメダメな石川さんを中心に据えて
ほんの120〜130年ほど前の日本人を描き出している。
ヤツラはいまの我々と同じようでずいぶんと違う。
ずいぶんと違うようでそれほど違わない。
高尚な思想を掲げて国家について論じたりしながら
いっぽうでフツーに青春していたりする。
石川啄木など俗人の極みで才と性をもてあまし
欲望に流されて金に困窮し続ける。
これが後世に名を残す人間かと呆れるほどのダメっぷりなのだ。
谷口ジローの一見精緻で冷徹だが
その実人間的な温かみを湛えたペンによって描かれると
そのダメっぷりはほどほどに中和され
愛嬌を伴って現代人である読者にグッと近づいてくる。
ありきたりだけど「人間・石川啄木」ですなっ!(語尾は言い捨て)
全5巻あるなかでどれが一番面白いかなあ。
他のももう一度読み直してみよう。