『別れの煙』

今回の歌碑巡りの中からいくつか印象的だった場所と唄をピックアップ。


『別れの煙』
知名定繁先生作曲の名曲。
大城美佐子先生も最新アルバム『唄ウムイ』でラストに選んでいます。


  別て旅行かば 嬉(うり)さ淋しさん
  思(う)び出(じゃ)しよ産子(なしぐゎ) 島ぬ事ん
  ちゃー忘(わし)るなよ


島を離れて本土に就職に行く娘。
那覇の港まで送りに行く事のできない年老いた母親は
名護湾に面した小高い山の中腹から松の葉を焚いて見送る。
そして湾の沖を娘を乗せた蒸気船が通る。
松の葉から立ちのぼる白い煙と
船から立ちのぼる黒い煙が呼応するように空に溶ける。


この唄は1936年に発行された稲垣国三郎著『琉球小話』の中の
「白い煙と黒い煙」というエッセイに触発されて作られた唄なのだそうです。
本土から教員として沖縄に赴いた稲垣氏が
名護で出会った老人から聞いた実話が元になっているそうです。
石碑は名護城公園中腹にあります。

石碑のある場所から名護湾が見下ろせます。
あの海の沖に黒い煙は立ち上ったのだろうか。