『さくらん』(ワーナー・マイカル・みなとみらいで鑑賞)
映画はやっぱり映画館で観なきゃね〜。
というわけで『さくらん』。
ロードショー終了ギリギリで観て来ました。
蜷川実花さんの写真が好きなので
「どんな映像を撮るんだろう」
とドキムネして行ったのですが
これは期待通り。
「蜷川ワールド」が咲き乱れておりました。
印象的だったのは「黒」と「赤」。
この二色によって吉原という特殊な世界の
インビな雰囲気を創り出すことに成功していたと思います。
黒と赤というとかなりどぎついんだけど
そこに差す陽の明かりや花びらのピンク、障子の青や黄色が、
(当時青や黄色の障子なんてあったんだろうか)
あの時代の陰と陽、男と女、虚と実など
さまざまな対比を生み出して
ポップでありながら深い陰影のある映像を創る。
江戸時代なんだけどポップ!江戸時代なのにパンク!
そんな感じの映像でした。
もっとも杉浦日向子さんの漫画とか読んでると
江戸時代ってそんな時代だったんだろうな〜なんて思ったりするんだけど。
ふすま絵や生け花などの小道具がカッコイイ!
衣装がカッコイイ!
あと、椎名林檎の才能に嫉妬しました(笑)。
音楽カッコイイ!
脚本はもうちょっとメリハリがあってもいいんじゃないかと思ったす。
全体の演出は思ったよりオーソドックスでした。
いままで「吉原物」というと
「苦界に身を沈めて」的な悲劇が多かったんだけど
これはスカッと壮快。“ニュー時代劇”って感じでした。
極彩色蜷川ワールドを堪能するなら大画面で観るのがオススメです〜。
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土屋アンナは苦手な女優さんなんだけど
この役にはハマりすぎるほどハマッてます。
というか原作のまんま。
ただ、当時の吉原で当代きっての花魁ということになると
ただの器量や手練手管だけなれるものではなく
大名や大店の主人と互角に渡り合える教養や
琴三味線などの芸事にも優れていなければならなったそうで
土屋アンナは花魁になってからもややもすると“小娘”に見えてしまう
というところがちょっと物足りなかったかな〜。
その点木村佳乃は(彼女も苦手なんですが)
凄みというか迫力がありました。
彼女は今までにない演技をしていると思います。
映画化にあたってはやはりかなり端折られた部分があって
微妙にキャラクターのニュアンスも違ったり。
映画を観て面白いと思った方は是非原作も。
てか、うちにある単行本、借り物でした…返さなきゃ(汗)。
それからまったくの余談ですが
江戸時代には「ディープキス」というのはなかったんだそうです。
「口吸い」と言ってお互いの唇を合わせて
吸い合うというところはしたんだそうですが
舌を絡めるという概念がなかったそうで。
映画の中では激しい絡みのシーンが何度も出て来ますが
そこがちゃんと表現されていたのはちょっと嬉しかった。
誰だ!日本人にディープキスを教えたのは。
あ り が と う !