『幸福のスイッチ』(DVDで鑑賞)

長兄が「観ろ観ろ」とススメルので観てみました(笑)。
小粒で丁寧に作られた優しい映画でした。
この映画は和歌山の田辺が舞台。
ワシのうちは母方も父方も和歌山の出で
長兄は関西に住んでいたことがあるので
物語の舞台に感慨深いものがあったようですが
ワシは住んだことがないのでその辺は
あまり思い入れがなかったけど
なかなか良さげな所だなあとは思った。
クルマ飛ばして行ってみたくなりましたよ。

関西の地方都市から東京に出て来て
イラストレーターとして働くレイ(上野樹里)。
だが自分のやりたいことと仕事の折り合いがつかず
イライラは募り彼氏とも上手く行かず
ついには勤めていた代理店を辞めてしまう。
かといって転職の宛も無く途方に暮れるレイに
実家から妊娠中の姉が倒れたとの連絡が入る。
急いで駆けつけてみるとそれはしっかり者の三女の企みで
実際は電気屋を営む父(沢田研二)が怪我で入院したので
家業を手伝ってほしいという上京であった。
利益度外視で顧客対応に追われる仕事人間の父に
嫌気が差して実家を飛び出したレイは嫌々ながらも
電気屋の仕事を始めるが…。

上野樹里がふてくされキャラを炸裂させています。
実際にこういう人なんじゃないかってくらい
ふてくされ演技が上手いなあ、上野樹里
儲けも考えず家庭も顧みず
お客様の言いなりにばかりなっている父親に
最初は反発していたレイだが
しだいに父親の仕事ぶりの底にある思いに気づいていく。
その変化がこの映画の肝だが
大きな事件があるわけではなく
小さなエピソードが積み重なって行く。
そのエピソードはとくにハッとさせるようなものではないが
丁寧に折り重なって行くので観ていてダレることがなかった。
最近の日本映画はハリウッドばりに大仰な演出が多かったりするけど
こういう小品が本来の日本映画のよさだよな〜なんて思ったり。
沢田研二さんには昨年お会いするという幸運を得たのですが
ご本人の温かい人柄がそのままにじみ出ていて
太陽を盗んだ男』からすると隔世の感ありですなあ。
そのジュリーが扮するお父さんは
仕事一筋の頑固オヤジって感じなんだけど
こういオヤジって最近見かけないなあ。
ワタクシは親子における「友達感覚」というのが
どうも理解できないんですが
昨今はそういう親子関係が多いらしいですね。
それって大人の自信の無さの現れなんじゃないだろうか。
父親の威厳は何処へ?
やっぱオヤジはガツンといかないと。
ジュリーの「ニッポンの父ちゃん」ぶりは
見ていて清々しかったです。


しかし海辺の街ってのはいいね。
イヤなことがあったりすると海に行けるってのは
ホントうらやましいと思う。
うちなんか「ちょっと海見て来る」なんて言っても
最低40分はかかるもんなあ、クルマで。
海の近くに住みたいよ〜。
でもクルマ錆びるらしいっすね…。

幸福のスイッチ [DVD]

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