『上い口説』

きのうの教室では『上い口説』を中心に。
「口説」というジャンルは語り物、物語形式。
特徴的なのは多くの沖縄民謡に見られる
「八・八・八・六」の琉歌形式ではなく
「七・五」調の大和風であること。
そのためやまとんちゅにとっても
入りやすい聴き心地、唄い心地となっています。
ついでに言うと歌詞の中に
「富士に見紛う桜島
とありますが当時富士山を見たことのある
琉球人はそうは居なかったであろうことから
作者が意図的に大和的要素を盛り込もうとした
形跡をうかがうことができます。


唄われている内容は沖縄から鹿児島までの道行き。
琉球王国時代には王様が変わるたびに
薩摩上り、江戸上りが行われて
当時としては非常に危険な
海の長旅をしなければならなかった。
だから唄の中でも親兄弟と涙の別れを告げ
船に乗り込む様子が描かれています。
南風を帆に受け薩摩へと旅立つ船の様子
そしてやっと開聞岳が見えて来て
「富士に見紛う桜島」にホッと胸を撫で下ろす様子が
手に取るように感じられます。
『上い口説(ぬぶいくどぅち)』は舞踊曲として有名ですが
勇ましくも優雅な船旅姿の男踊りで
見る者をも引き締まった気持ちにさせてくれます。


旅の出ぢ立ち 観音堂
千手観音 臥し拝でぃ
黄金酌取てぃ 立ち別る
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
立ちゅる煙や 硫黄島
佐多ぬ岬ん はい並で エイ
ありに見ゆるは 御開聞
富士に見紛う 桜島