『隠し砦の三悪人』(DVDで鑑賞)

hacchaki2008-12-09

もちろん黒澤版です。
「〜ラストプリンセス」とかなんとかつかない方ね。
むかーしむかーしに観たんだけど
内容はすっかり忘れてしまっていて
猛烈に観たくなったのでレンタル屋さんにダッシュしますた。
さすがにジョージ・ルーカスがトリビュートしまくって
スターウォーズ』の元ネタとしただけのことはありますな。
あらためて観ると『スターウォーズ』っぽいシーンがあちらこちらに。
冒頭の農民二人がトボトボ歩くシーンなんて
まんまR2-D2とC3-P0だし。
砂と岩だらけの隠し砦はルークの故郷タトゥーイン星だし
ラストシーンで真鍋六三郎と田所兵衛と姫が三人並ぶところは
ルークとハンソロとレーア姫が凱旋するシーンそっくりだし。


そんな小ネタ探しをしながら観るのも楽しいが
やはり黒澤作品、台本&キャラクター作りがしっかりしてます。
前出の農民役に千秋実藤原釜足、このでこぼこコンビがじつにユーモラス。
三船敏郎の骨太な侍役はもちろん文句なし。
こういう豪放磊落な感じを出せる人って今いないよな〜。
そして元祖ツンデレ姫役には上原美佐
この方この作品のあと2、3本映画に出てから
「自分には才能がない」と引退してしまったそうですが
その潔さ自体が伝説。カッコイイ。
画面の中の彼女は溌剌と健康的なエロスを発散させています。
黒澤映画って色気がないイメージがあるけれど
彼女は黒澤映画中究極のマドンナなのではないですか。
ところどころ間延びしたシーンがあって
2時間で収まってればなあと思えたのは残念。
椿三十郎』はそのあたり完璧だったのに。
城から捕虜農民が脱走するシーンや
山狩り、火祭りの群衆シーンは目を見張るほどの迫力。
CGでお手軽に作った映像とはまるで違う質感。
そして乗馬チェイスシーンの三船敏郎のスゴさ。
アレは誰にもマネできまい。
そりゃジョージ・ルーカスもトリビュートしたくなるわさ。


やはり黒澤作品としては『椿三十郎』第1位の座は動かないけれど
本作品も極上の娯楽作であることに間違いなし。
ただ『隠し砦の三悪人』というタイトルは
内容と合っていないような気がするのだが。
農民二人は終始へなちょこだったし
六三郎は「忠義な家臣」なだけで悪いことしてないし。
タイトル単体で見るとカッコイイけどね。


さてと、次は長澤まさみ版を観るとするか。

隠し砦の三悪人<普及版> [DVD]

隠し砦の三悪人<普及版> [DVD]