『崖の上のポニョ』子供の頃に観た悪夢?

hacchaki2008-12-30

今さらながら観て来ました。
ららぽーと横浜のTOHO CINEMASでやってたんですよ〜。


アニメはもともと苦手なのでジブリ作品は『風の谷のナウシカ』以来。
なんというか子供が観る怖い夢を延々観させられているような映画でした。
意味など考えずにその世界観に浸り切れれば
かなり楽しいんだろうし実際そのように引き込まれるシーンも
沢山あったんだけれどいろいろなところで引っかかってしまって。


例えば冒頭で魚の姿のポニョをバケツに入れて水道の水を注ぐシーン。
どう考えても死ぬ。海水魚なら。それを誰ひとり止めない。
ソウスケがポニョを見せるとみんな口を揃えて「かわいい」という。
だけどひとりの老婆だけが「人面魚!」と恐れおののく。
確かにポニョの造型は人面魚そのものだけれど
ソウスケもお母さんも皆ふつうの魚として受け入れている。
それなのになぜその老婆は「人面魚!」と言ったのか。
そしてその台詞になぜ誰も疑問を挟まないのか。
などなど冒頭十数分でさまざまなな疑問が出て来るのだけれど
そのどれもがまったく回収されずに物語は無責任に膨らみ続ける。
そのあともいろいろと思わせぶりな台詞や
「え〜っ!?」って思うシーンなどがわんさか出てくるのだけれど
その「!?」はまるで無視されたまま物語はハッピーエンド。
しかしこれは本当にハッピーエンドなのか?
実はなにか奥深いもののメタファーなのではなか?
子供向けの寓話と見せかけて裏になんか隠されているんじゃないか?
そんなことを考えずにはいられないワシの心は
もはや童心など失われて汚れ切っているのでしょう。ああ。
しかしあれって子供たちに大人気だったというのだけれど本当かなあ〜。
どうもそれが信じられない……。
「面白くない」とは思わなかったんだけれど
他人の夢の話を延々聞かされてもけっして感動しないのと同じで
物語に心を揺さぶられることはなかった。
宮崎駿はホントに子供に向けて作ったのかなあ。
かなり確信犯的なモノを感じるんだけれども。
「不思議なことがいろいろと起こるけれど
今は何も考えなくていいの。」
という台詞はそのあとに
「なぜならこれは夢の中の出来事だから。」
なのか
「なぜならこれは死後の世界だから。」
なのか。
そんなこんなでエンディングのあの唄が
始まっても全然楽しい気分になれなかったし
(あの唄自体は楽しくていいよね)
なんかそういう意味では観終わってしばらくしてから
ジワジワと気になって来ました。それがジブリの狙いか?


いっぽう絵は美しかった。
アニメーションとしての絵の躍動感が素晴らしかった。
水面を行く船の下を古代魚が泳ぎ回る描写などは本当にワクワクした。
スピード感溢れる映像にはグッと引き込まれた。
ただ手描きタッチの背景といかにもアニメ然としたキャラクター造型は
いまひとつ馴染んでいないように思えた。
音楽も素晴らしかったです。映像とピッタリ合っていた。


まあ『魔女の宅急便』も『ハウルの動く城』も『もののけ姫』も
観ていないワタクシが偉そうなことを言うのもなんですが
宮崎駿の観た夢の話に付き合ったという感じで捉えればいいのかな。
そしてそれはかなり狂気じみた恐ろしい夢だと思うのです。
観てない人に薦るか薦めないかとというと、きわめて薦めたい。
そして感想を小一時間語り合いたいと思うのです。


余談ですが子供に親を名前で呼ばせるのって
個人的にはスゴく聞いててイヤでした。
ちゃんと「お父さん」「お母さん」と呼べと!


正月中に観たい映画『ローリングストーンズ〜シャイン・ザ・ライト』。
これがららぽーとで観られるなんて♪絶対観る!