『THIS IS IT』

hacchaki2009-11-05

ららぽーと横浜で鑑賞。
平日日中にもかかわらずほぼ満席でした。レディースディのせいか。


内容的にはマイケルが亡くならなければ
行われたはずだった ロンドン50公演のリハ風景をまとめたもの。
それ以上でも以下でもない。
のだが、


このリハの模様を観ただけでも
実現されたならばどれだけスゴいショーになっていたか。
おそらくワシのような凡人の想像を遥かに越えたものになっていたでしょう。
「誰もが未体験のものを味合わせるんだ」
という気概がマイケル以下バックミュージシャン、ダンサー、スタッフに
漲っていて想像するだけでもワクワクしてしまう。本番が観たかった。


冒頭、オーディションに合格したダンサーたちのインタビューシーン。
「マイケルと同じステージに立てる」
という喜びに皆が高揚し、感謝を述べ、涙を流す。
ここがまずグッと来ます。
そうでしょうそうでしょう、あこがれのマイケルだもんね。
それだけにマイケルが亡くなったと知ったときの
喪失感はいかばかりのものか。
みんな今どんな気持ちでいるんだろうね。


マイケルはリハーサル時つねに穏やかで冷静。
そして自分をどう演出すれば最高に見せられるか
完璧に把握していて適切な指示を出す。
彼の長い芸能生活の中で培った感覚が
いかに凄まじく研ぎすまされているかを
まざまざと見せつけてくれる。


バックミュージシャンにはオリジナル通りの完璧な演奏を求める。
その上でもっとエモーショナルに、ときに情緒的にと指示を出す。
若い女性ギタリストが『BEAT IT』のギターソロを
エドワード・ヴァンヘイレンとまったく同じように
弾いているところでおじさんは不覚にも泣きそうになった。
きっとヴァンヘイレンに憧れ、マイケルに憧れ
必死に練習して来たんだろうな。
一方でエレキギターを買って1曲目のコピー曲、
ヴァンヘイレンの『GOOD TIMES』で挫折した自分……。


マイケルのロンドン公演にかける意気込み、
ファンに心から楽しんでもらいたいと思う気持ち、
そんなマイケルのために一丸となってリハに取り組む人々、
その想いが少し粗い(あくまで記録用に撮られたものなので)画面からも
十二分に伝わって来る。
しかし元来ドキュメンタリーに仕上げるつもりすらなかったであろう
記録映像なのでマイケルとの距離感はつねに一定に保たれていて
「知られざるマイケルの内面が今明かされる」
みたいなセンセーショナルな映画を期待して観ると
肩すかしを食らうでしょう。
実現しなかったロンドン50公演を想像するためのアイテム。
それでじゅうぶん、と思える2時間でした。
あんな50歳にワタシもなりたい。
いや、すでに負けてるって。
サンキュー・マイケル!