『21グラム』(DVDで鑑賞)

まず監督の名前が覚えにくい。
「アレッサンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ」
一発で覚えられる人まずいないんじゃないでしょうか?
この監督さんは話題作『バベル』を撮った方。
そして、ワタクシはストーリーをまったく勘違いしてました。
どこで刷り込まれたんだろう?
ワタクシの中では
「“魂の重さは21グラムである”という“伝説”を
立証するために夜毎アヤシい人体実験(病院か
ら瀕死の患者を運び出し死ぬ瞬間の体重の変化
を調べる)を繰り返す医学生たちに降り掛かる恐怖!」
というような映画だったんだけど。
全然違うじゃん!

心臓移植を待つ重病患者ポール。逮捕歴があるが
今は更生して敬虔なカトリック信者となったジャ
ック。夫と娘たちの帰りを待つ幸せな家庭の主婦
クリスティーナ。だがジャックは誤ってクリステ
ィーナの夫と娘をクルマで轢いてしまう。そして
夫の心臓がポールの身体に移植されることに…。

全然違うでしょ…トホホ。
語り口は非常に凝っていて時系列がバラバラに構成されている。
ラストシーンから始まって徐々に時間のパズルが並べられることで
観客は内容を把握して行く。
だがこの構成は果たして効果的だったのだろうか。
凝っていることはよくわかるんだけど
ワタクシ的にはフツーに見せて欲しかったなあ。
ただあのパズルをそのまま時系列順に並べたらならば
もうひと山欲しいところだったと思う。
そのぶんをより深い人間描写に費やして欲しかった。


主演の三人、ショーン・ペンベニチオ・デル・トロ
ナオミ・ワッツは文句なしの熱演。
とくにナオミ・ワッツはいいっ。
初めて彼女を『マルホランド・ドライブ』で観たときは
それほど強い印象を受けなかったんだけど。
病院で夫と子供の死を聞くシーンの彼女の演技は
ちょっとスゴいです。注目。
そこにシャルロット・ゲインズブールも加えて下さいと
言いたいところだけど、この映画では影がいまいち薄い。
イギリスの人っていう設定みたいだけどフランス人だし。
なんであーいうところでわざわざフランス人使うのかな。
素直にイギリス人使えばいいのに。


まあそれはともかく出演者がみな素晴らしい演技をしているだけに
より深い所まで掘り下げて欲しかったと思う。
多くの人はあの独特の構成に拍手を送っているみたいだけど。
「あれ、ここはどこにつながるんだろう?」
などということに気を取られてしまうのは
非常にもったいない気がしたし
たとえば最初にDシーンがあって
Aシーン→Bシーンと進んだとき
Cシーンが予想ついてしまうと
実際にCシーンが始まったときには
単なる確認作業でしかなくなってしまう。
こういう構成が効果を生む作品も沢山あるけれど
この映画には不要な気がしてしまいました…。
でも繰り返しますが出演者の演技は、ホントいいです。


あと、肝心の「21グラム」というキーワードに
格別の意味が感じられなかったのも残念。
いつ「21グラム」の人体実験するんだろう?と
ワクワクしながら観ていた身としては。
だからそれはワタクシの勝手な勘違い…トホホ。

21グラム (初回出荷限定価格) [DVD]

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