2007年夏・沖縄…その4 鳩間島

hacchaki2007-10-18

沖縄旅行3日目の宿は鳩間島
小浜島から慌ただしく朝一番の
定期便に乗り石垣島に向かう。
宿のおばあさんはわざわざ早起きして
朝食を用意してくれていたのだが
声をかけてくれないので食べそびれた…残念。
前夜の夕食もそうだったんだけど
何時頃出来るか告げるわけでもなく
出来たと呼びに来るわけでもなく
だけどちゃんと作ってくれていて…。
なんだか不思議。でもぼんやりと温かかったり。
次回来たときのための教訓としておこう。


追記としては『かやま荘』は
おばあさんのサーターアンダギーが名物だそうで
食堂備え付けのノートには
多くのお客さんが「サーターアンダギー美味しかった!」
などとコメントしていたけれど
慌ただしい旅程の中ではそれにありつくことも出来なかった。
おばあさんも帰りがけ
「アンダギー食べさせてあげられなかったねえ」
としきりに気にしてくれていた。
もうひとつ付け加えておくと
夕食のおかずにどう見ても「モ○チキン」…と思われる
ものがあったのが笑えたのだが
(普段食べないから美味しくいただきました)
これは離島の民宿ではままあることらしく。
多くの旅行者は当然郷土料理を期待するところだが
「今日はごちそう作ったさー」と言ってトンカツが出て来たりする。
島の人にとってみれば郷土料理は「日常食」で
トンカツやフライドチキンがごちそうだったりするのは
不思議なことではない。
わざわざ石垣島まで出向いて「モ○チキン」を
買ってきてくれたのかと思うと
それはそれでなんだかジーンと来ないでもない。
まあ賛否はあると思うけど個人的には
普段「モ○チキン」など食べないので
美味しく頂きました。


で、石垣島に戻って新しくなった港のターミナルで朝食。
朝食はターミナルのスタンドで八重山そば
なにしろ15年ぶりの「八重山で食べる八重山そば」だ。
味は二の次にしてなんとなく感動。
素うどんみたいなそばだったけど朝にはちょうどよい。
昔の港のほうが風情があったと皆嘆くし
確かにその通りだと思うけどなにしろ
15年ぶりだからなあ…。


鳩間島に行く便は早朝と夕方の2便しかないということで
早く小浜島を立ったのだけど
ハイシーズンなせいかテレビドラマ『瑠璃の島』の
ロケ地となった効果なのか増便されており
午後2時の便などがあるので
それなら15年ぶりに川平湾にでも行こうということで
なんの考えもなしにタクシーに乗り込んだのだが
これが大失敗。川平湾、遠い…。
レンタカー半日3000円程度で借りられるのに
タクシーで川平湾と空港往復で8000円もかかってしまった。
おまけに島内観光を勧められ(15000円!)
それを断ったら空港への帰り道、遠回りされた…。
石垣島は今回鬼門かも…。
まあそれはそれとして川平湾は美しかった。
でも15年前に来たときのほうが感動はあったなあ。
あれからいろいろキレイな海を見たからだろうか。
それとも心が曇ってしまったのだろうか。
おそらく前回のときの印象が思い出の中で熟成され
美化されてしまったのだろう。
なんにしても一度は見ておくべき風景だと思う。


昼食は石垣牛『金城』。
1500円のランチであのボリュームはスゴい。
昼間っから焼き肉をじゅーじゅーと堪能。
自分が沖縄に着く前日に内地に帰った
エイサー仲間のAダチに焼き肉の写メを
送りつけてやった。ザマーミロ。



鳩間島
島の周囲約3.9キロ。人口約70人。


  鳩間中森(はとまなかむり)走(ぱ)り登てぃ 
  久葉ぬ下(しちゃ)に走り登てぃ
  ハイヤヤゥー ティバ
  カイダギティトゥユル デンヨ 勝(まさ)てぃ見事(みぐとぅ)
  (八重山民謡『鳩間節』より)


『鳩間節』にうたわれた鳩間島
本当に小さな可愛らしい島だった。
船が港に着いた瞬間に
「この島、好きになる」
という予感がした。
宿は『あだなし』。
若手実力派民謡歌手・鳩間可奈子さんの
実家だったのもなんとなく嬉しく。
本人はいなかったけど。
石垣島でお父様の民謡酒場に出演されている)



宿に荷物を降ろしてさっそく島内観光。
観光と言ってもとくに見るものはないのだが…
その「なにもなさ」が心地よい。
宿は港から歩いて2分のところにあり
そこから島の中心に向かって
木漏れ陽の下緩い坂道を上って行くと
わずか15分ほどで一番標高の高い場所に着く。
そこが『鳩間節』に唄われた「鳩間中森」だ。


  鳩間中森の小高い丘に走って登れば
  クバの木の葉の下まで走って登れば
  その景色はよそに勝って素晴らしい


ところがその中森の展望台。低い…。
前日、小浜島の大嵩登ったあとでは
公園のお山くらいに感じられる。
しかも周囲には木々が生い茂っていて
あまり見晴らしもよくない。
唄のイメージとはかなり違うなあ。
でも島のひとたちにとっては自慢なんだよなあと
微笑ましい気持ちになった。


鳩間中森の唄の世界をじんわりと堪能した後
島の西側に面する屋良浜へ。
白い砂が美しい静かな浜辺だった。
海はもちろん透き通っている。
ひとは自分たちのほかに1組いるだけ。
少し離れた所で珊瑚を拾っている。
静かな夕暮れ。豊饒な時間。
何千万年も変わらない夕暮れがそこにあった。


晩ご飯は宿の中庭にて他の宿泊客の方とご一緒する。
「離島のよしあしは宿で決まるよ」
と離島通の友人が言っていたがそれは言い換えれば
「宿で一緒になった人で決まる」ということでもある。
その点で今回は大当たりだった。
みんないい人たちばかりで食事が終わったあとは
ゆんたくタイムが続く。
三線を持ち出して唄い出すヤツがいる(それはワタクシ)。
鳩間可奈子さんが居たら
ぜひ唄声を聞かせて頂きたかったが
それは叶わなかったのは残念。
昨夜の満月に続いて月がとても美しい。
ほろ酔いかげんでみんなで大コウモリを探しながら
港に出ると海の向こうに横たわる西表島まで
青々と月が照らしている。


   月(つくぃ)ぬ美(かい)しゃ十日三日(とおかみっか)
   美童(みやらび)美(かい)しゃ十(とお)七つ
   ホーイ チョーガ
   (八重山民謡『月ぬ美しゃ』より)


各自部屋に戻って布団に入ると本島でのエイサー体験、
小浜島でのニンブチャーとの遭遇などが
混沌と身体のなかを流れ渦巻くのがわかる。
その混沌に心地よく身を任せながら眠りについた。