『ザ・マジックアワー』

いや〜笑った〜!
過去の三谷映画では一番のデキ。
これは是非劇場で観ましょう。
予備知識的にDVDで『ザ・有頂天ホテル』を観て
あまり楽しめなくてちょっと不安だったけど
それは杞憂に終わりました。
これはなるべく大勢で観てみんなで笑う映画だと思う。
『ザ・有頂天ホテル』もそうだったのかなあ
……いや、それはどうだろ。
タイトルから手品師の映画だと思っていたのは
ワタクシだけではあるまい。
だってTVで三谷幸喜手品やってたじゃん!
タイトルと内容、あんまり関係ないような……。
以下感想。未見の方はご注意を。








前半はとにかく笑いっぱなし。脚本上手いな〜。
いつもの三谷幸喜らしい「演劇的」な映画作りが
今回は設定と上手くマッチしていた。
たとえば演劇的な「わざとらしさ」が普段なら鼻につくが
なにしろ主人公が売れない役者なのでOK。
「映画の中で映画俳優を演じる」というプロットによって
今まで目についていた部分が逆に生かされた感じ。
ここが『ザ・有頂天ホテル』との決定的な違い。
ここかしこにちりばめられた小技も
今回は上手く消化されていた。
『ザ・有頂天ホテル』を観たあとだったのでとくに
クスッと笑うところが多かった。
そして、とにかく佐藤浩市が最高に面白い。
微妙な間や表情の作り方が本当に上手い。
佐藤浩市の演技だけでもう1度観たいと思わせる。
西田敏行とのカラみはもう本当に芸術的に面白い。
寺島さんも最高!ホントにいい味出してるなあ。
妻夫木聡深津絵里はいつも通りでした。
ガスパッチョ〜♪


ただ後半は少しテンポが悪くなる。
前半の畳み掛けるような勢いから一転して説明的なセリフが
増えてしまう。これは少し残念。
ここで勢いが途絶えなければ
エンディングもクドいと思わずに済んだように思う。
『ザ・有頂天ホテル』では感じられなかった「映画としての絵」
へのこだわりは今回ばっちりと感じられて
いい「絵」がいっぱいあったのが嬉しい。
人は誰も死なないし安心して観ていられるという意味では
非常にハッピーで良心的な映画ではあるが
「結局何も解決していない」という気がしなくもない。
まあコメディなんでその辺はいいのかな。
非常に上質で品のいいコメディでございました。


とにかく劇場で観ましょう、これは。