『愛のむきだし』(CSで鑑賞)

園子温監督作品。
エロ・グロ・ナンセンス満載。
そこはかと漂う70年代テイスト。
永井壕、山上たつひこを髣髴させるノリ。
あの感じが好きな人にはオススメ。


神父の父親に懺悔するために悪事を重ねる高校生ユウ。
理想の女性(マリア様)を捜し求めて
パンチラ写真を撮ることに。
ありとあらゆるパンチラ撮影テクを極め
いつしかパンチラのカリスマとなったユウは
ついに理想の女性ヨウコと出会う。
だがしかし彼女は極度の男嫌い。
しかもユウの女装時の姿「さそり」に恋をしてしまう。
さらに父親の再婚相手の娘であることが判明!
理想の彼女に妹として対峙しなければならないユウは
彼女を前にして沸き起こるリビドーに悩む。
そこに追い討ちをかけるかのように
アヤシイ信仰宗教団体“ゼロ”のアヤシイ女が割り込んできて
事態はとんでもない方向に・・・。


4時間もあります。長い。
タイトルロール出てくるまで1時間かかるという・・・。
上のあらすじでやっと半分くらいです(笑)。
しかし全編に漲るバカパワーで4時間を押し切ってしまいます。
観終ってみると長かったなあと思うけど
観ている間は時間を感じさせない。
それは主役の西島隆弘、脇を固める満島ひかり安藤サクラ
演技の素晴らしさによるところが大きい。
とくに満島ひかりがすごい!可愛いしカッコいいしエロいし!
安藤サクラもさすがあの人とあの人の娘だなという怪演ぶり。
ただ立っているだけのシーンですら怖い。
この人、藤山直美みたな感じに成長していくのかしら。


家族、信仰、性欲、変態、虐待、という
もうなんだかいろいろてんこ盛りな内容を
漫画チックに破天荒に、そして下世話に描いていきます。
ただ、一貫して感じるのは主人公のまっすぐさ。
変態とは「そのようにしか生きられない人」だと思う。
彼は自分を「変態」と定義しているが
彼のパンチラ撮影はヨウコと出会うための手段だったし
ヨウコに欲情してしまうのは健全な青少年なら当然のこと。
彼は純粋な童貞くんのデフォルメに過ぎない。
だから彼はちっとも変態ではないし
むしろピュア過ぎるほどにピュアなのだ。
そのあたりの感じを西島隆弘が実に嫌味なく演じている。
この“やり切ってる”感はなかなか貴重。


そんな純粋な青年が嵐のような(下世話な)
カオスの果てに見たものは?
エログロ大博覧会の果てに
大変美しいラストが待っています。
いろいろツッコミどころはあるし
好き嫌いのはっきり分かれる映画だと思うけど
自分はこういうバカエネルギーに
満ち溢れた映画は大好きであります。


愛のむきだし [DVD]

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