まだまだ続くテビチ問題

ワタクシが『足テビチの女』という唄を作って
オリジナル島唄コンテスト『S1グランプリ2008』に
エントリーしたとき
審査員の沖縄民謡の先生(沖縄出身)から


「“テビチ”なのか“ティビチ”なのかはっきりさせたほうがいいよ」
とアドバイスを頂いた。


「方言では“ティビチ”が正しい。
やしが君はヤマトーンチュだから
“テビチ”でもいいと思う。
どちらにするか考えてごらん」


それまでとくにそこまで深く考えていなかったので
リハの終わった会場でしばし考え
自分はヤマトーンチュだし、歌詞も標準語だからあえて


「テビチ」


でいこう、と決めた。
そのほうが「自分らしい」と思ったからだ。
そうして唄った『足テビチの女』はグランプリを頂き 
翌年沖縄市で行われる『第20回新唄(ミーウタ)大賞』に
自動エントリーされることになった。


ところがその会場では主催者から


「“テビチ”やあらん“ティビチ”と唄いなさい」


と思わぬ指摘を受けた。
なぜ“テビチ”にしたかを説明したが受け入れてもらえなかった。
プログラムに書かれるタイトルも


『あしてぃびちの女』


とされ控え室の進行表にいたっては


『あしてぃびちぬ女』


と書かれていた(笑)。
(でも賞状には『足テビチの女』と書かれていた・・・テーゲー)


その後も沖縄の人からライブなどで唄うたびに


「“テビチ”って言わないよ。“ティビチ”」


と指摘されることが多く


「いえ、私はナイチャー(ヤマトーンチュ)ですから
自分のアイデンティティとして・・・」


などと説明するのもめんどくさくなってきた(笑)。
で、自分の師匠をはじめ沖縄の友人などにリサーチしたんだけれど


「どっちとも言う」


というの意見が多かった。
保守的な人というか年配の人や
古典をやっている人などは


「“ティビチ”としか言わんよ〜」


という意見が多かった。
う〜ん、難しい。


そこでCDでは標準語の箇所では「アシテビチ」
方言の箇所では「アシティビチ」
と唄ってレコーディングし
これはひとつの解決策としてグッドだなと。
しかしそこまで聴き込んでくれる人がいるかどうか・・・。
まあ自分のこだわりでいいんじゃないかと。


そしてライブでは状況を見て(笑)
沖縄の人が多かったら「ティビチ」、みたいな。


ところが先日のこと、
ライブで名護出身の民謡の先輩が
ライブにいらしてくれたので
ここはしっかり


「アシティビチ」


と唄った・・・しかし。


「田所くん、沖縄では“アシティビチ”とは言わないよ。
“アシテビチ”だよ」


ビーン!新説・・・。


結局のところ育った場所、時代等によっても違うのだろうか。
いまだ結論の出ない「足テビチ」問題ではあります。