ちょっと古い漫画の話

hacchaki2013-03-13

中学生の頃夢中になって読んだ漫画がありまして。
松本零士大先生著『男おいどん』。
先日ライブのあとのお客様とのゆんたくで
ひょんなことから『男おいどん』の話が出て
思わず熱くなってしまいました。
四畳半!下宿!九州男児サルマタケ!
インキン!オバちゃん!トリさん!


さえない九州男児「おいどん」が
将来ビッグになることをなんの根拠もなく夢見て
結局はその夢とかプライドとかが邪魔をして
学業も仕事も恋もまったく上手くいかず
都会の片隅でただただ悶々とし続けるという話。


舞台はほとんど薄暗くかび臭い四畳半の下宿。
実に昭和テイスト溢れる漫画でした。
おそらく作者自身の悶々とした青春時代が
色濃く投影されているのだろうけれど
「何者でもない」青春期の自分には
いたく心に刺さった漫画だったのでした。


また寅さんよろしくマドンナが出てきては
「おいどん」は振られまくるのですが
その女性たちがのちに『宇宙戦艦ヤマト』のナターシャやユキ。
銀河鉄道999』のメーテルの原型とも言うべき
艶やかさを備えた容姿に描かれていて
それもこの一見オトコグサイ作品に
花を添えて魅力となっていた。


で、その最終回。
確か突然SFテイストになって
地球が環境汚染かなにかで住めなくなって
こぞってよその星(月だったか)に移住する。
そんな中おいどんはひとりトリさんとともに
地球に残り(確か宇宙船に乗る金がないとか
しょうもない理由)
「オレは地球で頑張るぞ〜」
とかなんとか叫んで終わる、
というような終わりだと記憶していて
そのことを先日のゆんたくの中で
熱く熱く語ったのだが
どうやらそれは記憶違いだったらしく(恥)。


気になってググッてみたら
泉麻人さんがまさにそこについて触れているコラムがありました。


http://www.daimokuroku.com/?index=izumi&date=20120326
 

自分が記憶していたSF的エンディングは実は本編ではなく
外伝的な『はるかなる第2前世紀 おいどんの地球』
という短編だったのだそうで。
それが本編といつの間にかゴッチャになっていたようだ。
う〜ん、いい加減だなあ、オレ。
しかしこの作品こそ松本零士
のちの数々のSF志向の原点たらしめた
金字塔的作品であることは間違いない。
「四畳半の下宿」と「SF」というミスマッチぶりも
素晴らしくて度肝を抜かれたものであった。


というわけで今また読みたくなりました、『男おいどん』。
捨ててしまったことが惜しまれるなあ。
今読んだらどんな読後感を得るのだろうか。


男おいどん (1) (講談社漫画文庫)

男おいどん (1) (講談社漫画文庫)